公開: 2019年8月13日
更新: 2019年8月14日
水は、普通、水素の元素2個と酸素の元素1個が結合しています。この水素は軽水素と呼ばれ、質量(重さ)が軽いのが特徴です。これに対して、質量の重い水素元素2つと酸素が結合してできる水を重水と言います。重い水素の原子核には、中性子が多く結合しています。この重水を使うと、電気分解などの反応が遅くなる性質があります。また、魚などの動物は、重水の中では生きていることができません。重水は、天然の水にもわずかですが、含まれています。
ドイツの物理学者達が、中性子の速度を落とす方法として重水を選び、炭素を選ばなかった理由は明確ではありません。重水を生成できる施設は、当時のヨーロッパにはほとんどありませんでした。フランス人の物理学者達は、ノルウェーの肥料工場で作られた重水を得て、使っていました。それに比較すれば、炭素を生成することは容易だったはずです。記録によると、ドイツの物理学者達も、炭素を使った実験をしたものの、効果がなかったそうです。それは、ドイツで作られた炭素の純度が低かったからではないかと言われています。